「筋肉の起始停止って聞くけど何のこと?」
「起始停止を知って、何かいいことあるの?」
筋トレやストレッチを効果的にやりたいけど、どうしたらいいのか分かりません…
こういった疑問にお答えします。
私がお勧めするのは「筋肉の起始停止」と「筋肉の作用」を覚えて、正確に動かし、かつまんべんなく伸ばすことです。
筋肉の起始停止や筋肉の作用について、解剖学を学んだ人や筋肉について詳しく勉強したことがある人にとっては当たり前の知識でも、一般的にはあまり知られていません。
しかしながら、筋トレやストレッチをするときに、その筋肉の起始停止を知ってるのと知らないのでは、その効果に圧倒的な差がつきます。
この記事では、
- 筋肉の起始停止とは何か
- 筋肉の作用とその意味
- 筋トレやストレッチを効果的に行う方法
これらについて上腕二頭筋を例にあげながら、具体的にわかりやすく説明していきます。
目次
- 筋肉の起始停止とは何か
- 筋肉の動きとは起始停止の距離が変わること
- 起始停止を上腕二頭筋を例に説明する
- 上腕二頭筋の作用
- ここまでの知識を筋トレに利用する
- 上腕二頭筋の特徴
- 関節の動きごとに分けて解説
- 最適にストレッチをするのにも関節の位置を考える
- まとめ
筋肉の起始停止とは何か
筋肉は、関節をまたいで骨に付いています。
そして、その筋肉が伸び縮みすることによって関節が動くのですが、その筋肉には、スタート位置と終わりの位置があります。
- 筋肉のスタート側が起始(部)
- 筋肉の終わり側が停止(部)
このような決まりがあります。
起始の意味
筋肉における付着部のうち、体の中心部に近いほうの付着部を起始と呼びます。
通常、こちらに近い関節はあまり動かないか、もしくは全く動きません。
停止の意味
反対に、筋肉における付着部のうち、体の中心部から遠いほうの付着部を停止と呼びます。
筋肉の停止に近い関節の動きは大きくなります。
筋肉の動きとは起始停止の距離が変わること
基本的には、筋肉が力を発揮するときに起始と停止の距離は近くなります。
この時、筋肉は収縮し短くなることによって停止部の骨を引き寄せ、関節運動が起こります。
負荷をかけた関節運動を繰り返すのが筋力トレーニングです。
細かく見ていくと、筋肉が力を発揮する際の収縮にはいくつか種類があるのですが、この記事では、筋肉が縮みながら力を発揮する様式で説明を進めていきます。
起始停止を上腕二頭筋を例に説明する
一般的によく知られている上腕二頭筋を例にあげて起始停止の説明をしていきます。
上腕二頭筋は、いわゆる力こぶを作る筋肉で、体表からも見やすくイメージがつきやすいと思います。
二頭筋ってどういう意味?
「上腕」とは、腕の中でも「上腕部」という部分にある筋肉という意味です。
そして、「二頭」とは頭が2つ、つまり起始部が2つあるという意味になります。
まとめると、上腕部にある頭(起始部)が二つある筋肉。
だから「上腕二頭筋」という名称なのです。
上腕二頭筋の起始停止
上腕二頭筋の起始部は次の2つです
- 長頭 → 肩甲骨の関節上結節
- 短頭 → 肩甲骨の烏口突起
この2つが起始部なのですが、骨の名称を知らなければ、これを見ただけでは何のことだか分からないかもしれません。
徹底的に筋肉のことを知りたければ、骨の名称も細かく覚える必要があります。
上腕二頭筋の停止部
「橈骨粗面」が上腕二頭筋の停止部です。
橈骨粗面の位置は、後の「前腕の回内、回外」の説明図に書き入れておくので、参考にしてください。
上腕二頭筋の走行を分かりやすくいうと、肩甲骨から始まり、前腕の親指側の骨に終わっています。
上腕二頭筋を深く知るために
筋肉の起始停止が分かったら、関節の動きと筋肉の作用を知る必要があります。
まずは上腕二頭筋に関わる関節の動きを覚えてください。
肘の屈曲と伸展
屈曲、伸展とは、肘の曲げ伸ばしのことです。
前腕の回内、回外
前腕とは肘より先の部分、手のひらを下に向ける動きが「前腕の回内」、手のひらを上に向ける動きのことを「前腕の回外」といいます。
上腕二頭筋の作用
作用とは、その筋肉が縮むことによって関節がどの方向に動くかを表します。
上腕二頭筋の作用は次の3つです。
- 肘関節の屈曲(肘を曲げる)
- 前腕の回外(手のひらを上に向ける)
- 肩関節の屈曲の補助(腕を前から上にあげる手伝い)
要するに、力こぶを作るときの動きになります。
ここまでの知識を筋トレに利用する
ここまで解説してきた内容を理解していれば、筋トレやストレッチを行う際の解剖的な理屈が分かります。
筋肉を効果的にトレーニングするには、筋肉の起始と停止を近づけること。その筋肉の作用に負荷をかけることで最大限に狙った筋肉に刺激を与えることができるのです。
上腕二頭筋の特徴
上腕二頭筋の特徴として、
- 上腕二頭筋は、特に前腕が回外しているときに、肘関節の屈曲に大きな力を発揮する
- 肘関節が屈曲している状態では、前腕を回外させるのに強く働く
この2つの特徴を読んで、内容の意味が分かるようになったらしめたものです。
どちらも、上腕二頭筋の起始と停止を近づける動き、筋肉の作用なのです。
筋肉の持つ作用をまとめて行うことによって、最大限の力を発揮することができます。
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関節の動きごとに分けて解説
上腕二頭筋を狙って鍛える際に、起始停止と作用を知ることによって最大限の効果を得ることができると繰り返しお伝えしてきました。
ダンベルカールを例にあげて解説していきます。
前腕の回内で上腕二頭筋が緩む
ためしに、手のひらを下に向けた状態でダンベルカールをやってみましょう。
これでは、肘を曲げる力を十分に発揮できず、持ち上げる重量が少なくなってしまうはずです。
前腕を回内したときには、上腕二頭筋の停止部である橈骨粗面の位置がずれます。
これでは、上腕二頭筋の収縮が不完全になり最大限の力を発揮できないのです。
この時、上腕二頭筋の力が弱まり、上腕筋、腕橈骨筋といった筋肉の働きが強調されることになります。
関節の角度や位置によって筋肉の働きが変わる
例えばドライバーでネジを締める時、肘を伸ばしながら行うと上腕二頭筋の作用は弱まり、「回外筋」という筋肉が強く働きます。
一方で、肘を曲げた状態では、上腕二頭筋が前腕を回外させる筋肉としてよく働き、回外筋はあまり使われません。
このように、それぞれの筋肉が最大限に力を発揮できるかどうかは、その筋肉が作用している関節がどの位置にあるかによって決まってくるのです。
最適にストレッチをするのにも関節の位置を考える
ストレッチをするとき、関与する関節の位置を考えながらやっている人はあまりいないのではないでしょうか。
上腕二頭筋であれば、3つの関節全てを適切な位置に置かなければ、最適に伸ばすことができません。
適切な関節の位置とはつまり、筋肉の作用と正反対の方向に関節を動かすということです。
上腕二頭筋の作用の反対の作用を見てみましょう。
【作用】
- 肘関節の屈曲(肘を曲げる)
- 前腕の回外(手のひらを上に向ける)
- 肩関節の屈曲の補助(腕を前から上にあげる手伝い)
【作用の反対の動き】
- 肘の完全伸展(肘を最後まで伸ばす)
- 前腕の回内(手のひらを下に向ける)
- 肩関節を完全伸展(腕を後方に引く)
この3つを同時に行って初めて、上腕二頭筋を最適にストレッチすることができるのです。
上腕二頭筋についての機能解剖、筋トレ方法、ストレッチ方法について詳しくは、YouTubeの中で解説しています。
また、トレーニング後に、タンパク質を摂取することによって、筋肉の修復が早まり、疲れを癒し、筋肥大を助けます。
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まとめ
筋肉の起始停止を知り、トレーニングやストレッチに応用する方法を、上腕二頭筋という筋肉を例にあげて解説しました。
- 筋肉の起始はスタート位置、筋肉の停止は終わりの位置
- 筋肉が動くときは起始と停止の距離が変わる
- 筋肉を深く知るために起始停止と作用を知る
- 前腕が回内すると上腕二頭筋の停止部がズレる
- 前腕の回内で上腕二頭筋の屈曲力が弱まる
- 関節の角度や位置によって筋肉の働きが変わる
- 最適にストレッチをするのにも関節の位置を考える
こうした知識がなくてもやり方だけ知っていればトレーニングもストレッチもできます。
ただ、深くトレーニングを突きつめていくほど、この記事に書いたような解剖学の知識が必要だと考えています。
何よりトレーニングがおもしろくなるし、狙った筋肉をピンポイントで効果的に鍛えることができるのです。
今回取り上げたのは上腕二頭筋ですが、どの筋肉にも同じように応用することができますので、興味がわいた方は是非勉強して知識を深めてみてください。
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