大したことない物事や相手の行動にイライラしてしまうことってありますよね。
普段は冷静なのに、ちょっとしたキッカケで怒りの感情がわき起こることは誰にでもあるものです。
先日、このようなツイートをしました。
昨日あおり運転を見た。常識的に見える大人が突然切れてしまうのは、疲労とストレスが重なり、セロトニンが欠乏しているから。
途中で止めることができず、怒りが怒りを呼んで、徹底的に相手を攻撃してしまう。
生きていればストレスは避けられないけど、うまく切り替えて心を柔軟にすることが大切。
この内容を深掘りしつつ、怒りの感情について解説します。
この記事では、
- 怒りの感情はなぜ起こるのか
- 怒りを鎮めることは可能か
- 怒りを鎮めるコツ
これらが分かる内容になっています。
目次
- 怒りを解消する方法はある
- いい大人が怒りをコントロールできないのはなぜ?
- 怒っているとき脳の中で起きていること
- 人間脳と動物脳
- 前頭葉の働きが及ばない
- 5秒のガマンで前頭葉が働き出す
- 身体に注意を向ける
- 思考のクセを変える
- 後まで引きずってしまうなら
- 瞑想をする
- まとめ
怒りを解消する方法はある
自分の指示に従わない、自分の思うようにやらない相手に対して、すぐイラついてしまう。
怒りにも、瞬間的ですぐに冷めるものと、四六時中そのことを考え、いつまでも怒りがおさまらないものがあります。
どちらの怒りも時間とともに収まっていくのが普通ですが、中には長期的に記憶され忘れられなくなってしまう人もいるのです。
こうした怒りを減らす方法はあります。
ただ、無意識の感情をコントロールすることは非常に難しく、コツをつかみトレーニングを重ねる必要があります。
そのコツをこの記事で解説するのですが、その前に怒りの感情についてお伝えしておきます。
いい大人が怒りをコントロールできないのはなぜ?
常識的に見える大人が突然キレてしまうという状況をTwitterで書きました。
小さな子どもがキレて泣きわめくというのなら仕方がないと思いますが、理性的な大人の人間が感情的になってしまうのはなぜでしょう。
怒っているとき脳の中で起きていること
先日見たあおり運転のきっかけは、二車線道路の追越車線に一台の車が強引に割り込み、それに腹を立てたと思われる後続車があおり始めたという状況でした。
きっと、あおり始めた運転手も普段は穏やかな人なのかもしれません。
誰にでも、日常のささいな出来事に腹が立ち、感情が爆発してしまうことがあるのです。
人間脳と動物脳
怒りは、脳が発動させる自分を守るための緊急モードです。
このとき働くのが「扁桃体」という本能の部分です。扁桃体は不快な感情に反応して脳全体を支配し暴走を始めます。
扁桃体は、魚やトカゲでも持っている原始的な脳の部位です。ここが暴走すると冷静な判断ができなくなり、怒りをぶちまけてしまうことになります。
そこで、その暴走を鎮めてくれるのが、人間が進化の過程で発達させてきた理性的な脳の部分「前頭葉」です。
前頭葉は、持続的に活動して怒りや悲しみといった感情をコントロールしています。
扁桃体と前頭葉の仕組みについて、イライラしたり悲しくなったりする理由【脳の扁桃体とは】 - ほねつぎ院長ブログの記事で解説しています。
前頭葉の働きが及ばない
前頭葉は脳の思考の部分。
怒りにとらわれた扁桃体を「それくらい怒ることじゃない」といった具合にたしなめる役割をしています。だから瞬間的な怒りも時間がたてば落ち着いてくるのです。
ところが、不快な状況で瞬時に動きだす扁桃体の活動に対して、前頭葉は遅れて動き出します。
兄弟ゲンカで泣き出した小さな子に、後から登場したお母さんが慰めても、一度スイッチが入ると急には泣きやまないようなものです。
特に子どものうちは、脳の発達やネットワークが未熟なので、一度興奮しだしたら落ち着かせるのに苦労することがあるのです。
5秒のガマンで前頭葉が働き出す
イラッとしてから前頭葉が働き出すまでの時間はどの位なのか。
およそ3秒から5秒ではないかといわれています。
ようするに、5秒前後ガマンすることができれば、冷静さをとり戻すことができるわけです。そのチョットのガマンができないと、相手に暴力を奮ってしまうようなことが起きてしまうのです。
暴力まで行かなくても、「うるさい」「バカ」などと言ってしまえば、火に油を注ぐようなもので、相手の扁桃体は興奮し、収取がつかなくなります。
対処法として
- 深呼吸をする
- 水を飲む
- その場を離れる
これを行うことによって5秒の時間をかせぎ、落ちつくことができる可能性が高まります。
深呼吸で副交感神経を働かせる
5秒間ガマンできれば落ち着いてくるとお話ししましたが、すぐにできる簡単な対処法が深呼吸です。
深い深呼吸を一回すれば、5秒は簡単に過ぎますから前頭葉が働きだします。
それに、深呼吸の良いところは、副交感神経を優位に働かせ、リラックス効果があるところです。
怒りがあるときには交感神経が優位になり、ノルアドレナリンというストレスホルモンが分泌された状態です。
深くユックリとした呼吸を意識するだけで、自律神経が整い冷静さを取り戻すことができるのです。
その場を離れて水を飲む
可能であれば、一度その場を離れて水を一杯飲むと良いでしょう。
その場にとどまれば相手の攻撃がつづき、お互いに引けなくなると、もう収拾がつかなくなってしまいます。
怒りから意識を遠ざけるためにもその場を離れるのが最適です。
そして、水を飲むことによって胃腸を刺激し、副交感神経を優位にすることができます。
深呼吸のところで解説したのと同様に、落ち着きを取り戻すきっかけとしておススメです。
身体に注意を向ける
自分が怒っているという現実を認め、自分の身体に起こっている変化に目を向けます。
扁桃体が興奮しノルアドレナリンが分泌されている状況では、前頭葉による抑制が及ばず交感神経に作用して身体症状が生じます。
- 動悸
- 呼吸の変化
- 胸が詰まる
など、何かしらの反応がみられるはずです。
心と身体のこわばりに気づき深呼吸でそれを緩めていきましょう。
深くゆっくりと呼吸をして、身体の緊張が緩む感覚をつかむことが大切です。
思考のクセを変える
赤ちゃんや小さな子どもほど、大人では理解できないような言動をします。
これは、子どもの脳は成長が未熟で、コントロールが効かない状態だからです。
理性が働かず、扁桃体が優位な状態。
つまり、感情的に怒ってしまうのは、幼稚で大人げない行動ともいえるのです。
冷静に思考を使って考えるクセをつけることで、感情をコントロールすることができます。
後まで引きずってしまうなら
時間とともに冷静さを取り戻し、瞬間的な怒りは消えていくとお話ししました。
しかしながら、中には嫌な出来事が忘れられず、ずっと頭から離れなくなることもあります。
そんな時は、状況を客観的に整理することが必要になります。
ただ、頭の中だけでそれをやろうとすると、うまく整理することが出来ずまた嫌な感情が出てくるものです。
そんな時には紙に書き出す方法をおススメします。
手で書き分析する
- 嫌な出来事や状況
- 相手の気持ち(推測)
- 自分の気持ち
これらを紙に書きだします。
これに対して、自分が賢者になったつもりで第三者の立場から分析します。
考えながら書く時は、脳の前頭葉が使われます。考えを言語化するときに「言語野」が、文字を書くときには、「運動野」や「小脳」の働きが必要です。
どれも、新しい脳の部位「大脳新皮質」にありますから、扁桃体のある「大脳辺縁系」の働きは抑制されています。
自分の不快な気持ちにばかり注意が向くと、ドンドンとネガティブな感情ばかりが増えてしまいます。
客観的に物事を見れば、「怒るほどのことはないかも」「相手の気持ちも分かるかも」といった、ポジティブな考えが出てくるかもしれません。
瞑想をする
瞑想することによって、一時的な脳の機能を良くするだけではない効果が期待されます。科学的な研究によって、瞑想を継続的に行うことで脳の構造的変化に影響及ぼすことが分かっています。
うつ病や、慢性痛がつづくようなストレスによって脳細胞が萎縮します。
瞑想によって大脳皮質の厚さが増し、記憶に関連する脳の部位が強化されたという報告があるのです。
前頭葉の働きが高まれば、怒りで興奮する扁桃体をコントロールしやすくなります。
瞑想でセロトニンが増える
瞑想の効果は科学的に認められています。
- コルチゾールの分泌が減る
- セロトニン神経を活性化する
瞑想や呼吸法によって、ストレスホルモンであるコルチゾールが減ることが分かっています。
それに、セロトニンの分泌が増えるため、ストレスを受け流し感情をコントロールする能力が高まります。
まとめ
- 怒りは脳の中で起きている
- 5秒のガマンで前頭葉が働き出す
- 深呼吸で副交感神経を働かせる
- その場を離れて水を飲む
- 身体に注意を向ける
- 思考のクセを変えるために手書きで分析する
- 瞑想をする
こんなことしても自分の怒りはなくならない、なんて思う人もいるかもしれません。
ただ、「人間はすぐには変われない」ということを前提に起きながら、継続して練習すれば感情をコントロールする能力が身に付いてくるものです。
全部やらなければいけないわけではありません。
1つでも試してみて自分に合っているやり方を見つけてみて下さい。
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