痛みや苦しさをやわらげる、麻薬のような物質が脳から分泌されているのをご存知でしょうか。
マラソンなどの長時間のランニングでは、βエンドルフィンという脳内麻薬とも呼ばれる神経伝達物質が作用し、苦しさを爽快感に変えます。
このエンドルフィンは、おもに大きなストレスがかかった時に分泌され、高い鎮痛効果を発揮します。
この記事では、
- エンドルフィンの主な作用
- エンドルフィンの効果
- エンドルフィンを出す方法
これらについて解説していきます。
目次
- エンドルフィンの持つ効果
- ランナーズハイをもたらすエンドルフィン
- エンドルフィンは幸福物質
- エンドルフィンが分泌される癒しの時間
- ドーパミンとエンドルフィンの相乗効果
- 慢性的なストレスはエンドルフィンを減らす
- まとめ
エンドルフィンの持つ効果
エンドルフィンは、強力な鎮痛作用を持つ脳内物質の一つです。
その鎮痛効果は、モルヒネの6.5倍にもなるといわれています。
ボクシングや総合格闘技の試合で、強力な打撃を受けても痛そうな様子もなく戦い続けられるのは、強力な鎮痛効果を持つ脳内物質の働きによるものです。
興奮状態で分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンといったストレスホルモンとともに、エンドルフィンが作用すると、あまり痛みを感じなくなります。
ランナーズハイをもたらすエンドルフィン
エンドルフィンの解説につきものなのが「ランナーズハイ」です。
長距離を走りつづけるマラソンは、時間とともに苦しくなってくるものです。
ところが走ってるうちに、苦しいはずの体が軽くなり、気分が高揚し、幸福感に包まれる状態になるといいます。
ランニング中の苦しい状況にエンドルフィンが分泌され、その効果によって苦しさが軽減され爽快感に変わります。
ランニングをはじめとする有酸素運動の後に、血中のエンドルフィンが増加することは、多くの研究データが示しています。
エンドルフィンは幸福物質
エンドルフィンは、苦しみや強い痛みに襲われたときに分泌されると書きました。
実は、心と体がリラックスした状態でも、エンドルフィンは分泌されやすくなります。
エンドルフィンには
- 癒し効果
- 脳を休める
- 免疫力を高める
- 注意力や集中力を高める
といった、心と体の癒し効果が確認されています。
マラソンなどの苦しい状態に分泌されることは広く知られていますが、実は、リラックスしたときに分泌され、ストレスを減らす効果があります。
エンドルフィンが分泌される癒しの時間
心身ともにリラックスできる癒しの時間があると、エンドルフィンの分泌は促進します。
- 音楽を聴いているとき
- きれいな風景を見たとき
- おいしいものを食べたとき
- いい香りをかいだとき
- 瞑想をしているとき
このような、癒しの時間を作ることによってエンドルフィンの分泌が増え、ストレスが解消されます。
ドーパミンとエンドルフィンの相乗効果
快の刺激を得ることで、ドーパミンと一緒にエンドルフィンが分泌されやすくなります。
この二つが一緒になると、幸福感や鎮痛効果が増強されます。
プラシーボによる鎮痛効果
プラシーボ効果は、人間に対して行うあらゆる医療行為に含まれます。
クスリや注射、手術など、たとえそれが偽物ややったふりであっても、本人がそれを治療と認識したときは、実際に症状が改善されます。
このプラシーボ効果には、エンドルフィンやドーパミンの鎮痛作用が関係しています。
その医療行為に対する期待感が大きいほど、脳の側坐核が活性化し、エンドルフィンやドーパミンを増加させ、痛みを鎮める作用が働きます。
人に感謝する
人に感謝し、人から感謝されることによって側坐核が刺激され、ドーパミンやエンドルフィンが分泌されます。
ボランティア活動をする人は、
- モチベーションが高い
- 活動的
- 達成感や幸福を感じる
のほかに、心疾患の罹患率が低く平均寿命が長いのです。
これらは、ボランティア活動によってエンドルフィンが分泌されるためであるという研究があります。
ポジティブな言葉を使い、感謝を増やすというのは、心と体の健康と幸せを増やすポイントといえます。
慢性的なストレスはエンドルフィンを減らす
苦しみや強い痛みでエンドルフィンの分泌が増えると書きました。
ところが、慢性的なストレスや痛みが長期に渡ると、側坐核は機能を低下させてしまいます。
すると、ドーパミンやエンドルフィンの分泌が減少し、痛みを強く感じたり、ストレスの影響を受けやすくなってしまいます。
対策となる、癒しの時間や適度な運動を確保することが非常に大切といえます。
まとめ
- エンドルフィンはランナーズハイをもたらす
- エンドルフィンは幸福物質
- 癒しの時間がエンドルフィンの分泌を増やす
- ドーパミンとエンドルフィンの相乗効果
- 人に感謝するとエンドフィンが増える
- 慢性的なストレスはエンドルフィンを減らす
楽しい時にはドーパミンが、苦しいときにはノルアドレナリンの分泌が増えます。
それに対して、エンドルフィンは快でも不快でも、どちらでも分泌される脳内物質なのです。
エンドルフィンは、日常のストレス解消やスポーツのパフォーマンスアップには欠かせない脳内物質の一つといえるでしょう。
あおば🦴ほねつぎ院長 (@aofujiseikotsu) on Twitter