家族や職場の人に言われたちょっとしたことが気になって、悲しくなったり、イライラしたりする事はありませんか。
後で考えると大したことがないと思えることでも、とらわれて抜け出せなくなってしまうのは、脳の扁桃体というところが活動するからです。
感情、食事、痛みなどにも、この扁桃体という部位が関係しています。
この記事では、
- 扁桃体とは何か
- 感情、食事、痛みと扁桃体の関係性
について、分かりやすく具体的に解説していきます。
目次
- ネガティブな感情は扁桃体の暴走
- イラッとしたとき脳の中で起こること
- 理性と本能
- 摂食行動にも関係する脳機能
- 好きなら接近、不快な刺激には回避
- 正しい形の摂食行動
- 痛みにも感情が関与する
- 長引く痛みの原因は不安や恐怖
- 落ち込んでしまうのは理性が働かないから
- 楽しむことが大切
- まとめ
ネガティブな感情は扁桃体の暴走
怒り、悲しみ、不安、恐怖、辛い、苦しい。
心の中にある心配や不安、または怒りがなかなか割り切れず、思い出すたびに辛くなってしまうのは、科学的な面から説明できます。
人間の本能的な感情や行動は、脳の大脳辺縁系と呼ばれる部位で行われます。
ここにある扁桃体は、猿や犬、魚のような動物でも、共通して持っている部位です。
不安、恐怖、怒りなどの不快な気持ちが起こるのは、この扁桃体が活発に動いている時です。
一方、こうした感情をコントロールする機能を持ち、理論付けや、理性的な判断をするのが、大脳新皮質の中にある前頭葉です。
冷静な時は、扁桃体の活動を前頭葉が制御できているのですが、前頭葉の働きが及ばないと、不安や怒りといった感情を抑えることができなくなります。
イラッとしたとき脳の中で起こること
怒りは、原始的で動物的な大脳辺縁系の働きによるものであり、それを抑えるのが、理性的で人間的な前頭葉の働きということを述べました。
前頭葉が持続的に活動して嫌な感情やそれに伴う反応を抑えるような仕組みがあります。
ところが、嫌なことに瞬間的に反応した扁桃体が動き出し、それに前頭葉はすぐに対応ができません。
だから、嫌なことがあると瞬間的にイラッとするわけです。
理性と本能
扁桃体は本能の部分ですから、
- イライラ
- 悲しい
- 不安
- 怖い
といった感情を無意識の部分で感じています。
一方、前頭葉では、
- 大した事じゃない
- 大丈夫
- 心配ない
といった理性的な判断によって、落ち着きを取り戻すことができます。
前頭葉が扁桃体をコントロール
扁桃体が馬で、前頭葉はそれを乗りこなす人間として例えてみます。
女の子はうまく馬を乗りこなしています。
馬が何かに驚いて暴走しそうになっても、乗り手がしっかりとコントロールすることができれば、馬はすぐに落ち着きを取り戻します。
同様に、何かのストレスに扁桃体が反応して暴走を始めようとしても、前頭葉がうまくコントロールすれば、扁桃体の興奮は静まり気持ちも落ち着きます。
前頭葉の働きが低下すると
前頭葉の働きは長期的なストレスなどによってうまく働かなくなってしまうことがあります。
すると、扁桃体の興奮をコントロールすることができず、怒りが静まらなくなってしまいます。
馬の乗り手がうまく制御できず、馬が暴走しているようなイメージです。
これでは、冷静な考えも浮かばず不快な感情は続くことになります。
摂食行動にも関係する脳機能
食欲に関しても扁桃体は重要な役割をしていると考えられます。
扁桃体は
- 嗅ぐ
- 見る
- 聞く
- 味わう
- 触る
といった感覚の情報を受けて、自分にとっての価値を判断しています。
つまり、それが好きか嫌いかを判定するシステムといえる。
好きなら接近、不快な刺激には回避
身の回りで起こる全ての出来事について、脳が快か不快かを瞬時に判断します。
例えば、子供がにんじんを初めて食べて、まずいと感じると、脳は二度とにんじんを食べたくないという感情を植え付けます。
食欲も、感情と大きく結びついているので、好きなものを見たり、いい匂いを感じたりすれば食欲が増すということがあるのです。
この判断を行う扁桃体は、この好き嫌いの部分に大きく関わって、食欲に影響与えていると考えられます。
正しい形の摂食行動
扁桃体の本能に従えば、空腹のときおいしいものを見たりすれば、迷わず食べてしまうことになります。
ところが、人間で特に発達している前頭葉が、摂食についての意思決定にも関わってきます。
どんなに空腹を感じていても、食べてはいけないという場面では本能をコントロールし、社会的に正しい形で食べるか食べないかを決定します。
「太るから」とか、「家族に残しておこう」とか、本能を制御して「食べない」という選択をすることができるのです。
原始的な脳の扁桃体は、快か不快の二択で判断しようとします。
しかし人間は、扁桃体よりも高度に発達した、大脳新皮質を持っているため、理性的に判断し、社会的な行動をとることができるのです。
痛みにも感情が関与する
寝違えやぎっくり腰のほとんどは、時間の経過とともに良くなっていきます。
しかしながら、いつまでも改善せず、痛みが慢性化してしまう人もいます。
特に慢性痛には、不快な感情が引き起こす「脳の不具合」が関係するといわれているのです。
痛い場所が良くなっても心理的ストレスが続くと、脳が「痛い」という信号をだし続けます。
「このまま良くならなかったらどうしよう」
「動かしすぎて悪化したらまずい」
といったような考えから不安が生まれ、扁桃体が興奮し、腰痛に対する恐怖から腰をかばう癖がつきます。
長引く痛みの原因は不安や恐怖
痛みがなかなか良くならないとき、脳内の痛みを抑制する働きが弱まっている可能性があります。
どこかが痛いとき、鎮痛効果のある「エンドルフィン」や「ドーパミン」が分泌されて痛みを緩和します。
ところが、不安や恐怖が強い人ほど扁桃体の興奮が強まり、側坐核の働きが低下しドーパミンの分泌が減ります。
すると、高い鎮痛作用を持つエンドルフィンも分泌されなくなり、痛みが強く感じられるのです。
痛みが良くならない、検査で骨の異常を指摘されるなどの不安材料から、不安や恐怖の感情が強くなるほど痛みは増し、ますます前向きな気分になれません。
これは、情動に関係する扁桃体が、過剰に興奮しているためと考えられます。
落ち込んでしまうのは理性が働かないから
慢性腰痛の人は、脳の背外側前頭前野という部分が萎縮することが分かっています。
前頭前野の働きが低下すると、扁桃体の暴走をコントロールすることができなくなり、ネガティブな感情が増え、痛みを鎮める機能もうまく働きません。
当然、前向きな考えも浮かばず1日痛みのことや将来の不安のことを考えてしまい、さらに落ち込んでしまいます。
無駄な思考にエネルギーを費やし、脳は疲れてしまいます。
こうした悪循環から抜け出すためには、できることや良いことに注意を向け脳に安心を与えることが
大切です。
楽しむことが大切
悲観的な考えを減らすためには、脳の報酬系を働かせドーパミンをはじめとする幸福ホルモンを増やすことです。
前向きな考えは側坐核を働かせ、痛みを緩和しモチベーションをアップさせます。
- 運動や趣味を楽しむ
- 読書をする
- 日記を書く
- 瞑想をする
- 自然の中で癒される
など、脳のコンディションを整える方法はたくさんあります。
特に、自然の中でウォーキングをするのは手軽にできて効果が高いのでおススメです。
いきなり完璧を目指さずできることから始めて達成感を得ることが大切です。
その達成感からドーパミンが分泌されて次のやる気が出ますし、扁桃体の活動が抑制されてポジティブな考えができるようになります。
まとめ
- ネガティブな感情は扁桃体が暴走してるサイン
- 理性の前頭葉が本能の扁桃体をコントロール
- 前頭葉の働きが低下すると扁桃体を制御できない
- 摂食行動にも脳機能が関係する
- 好きなら接近、不快な刺激は回避する
- 痛みにも感情が関与する
- 長引く痛みの原因は不安や恐怖
- 落ち込んでしまうのは理性が働かないから
- 楽しむことが大切
扁桃体は脳の本能部分であり、感情が大きく関与しています。
ですから、その働きをコントロールすることが難しいケースもあります。
扁桃体、前頭葉の働きとともに感情にも目を向けて、落ち込んだり、悲観的な考えが多くなっているようなら、脳の働きがうまくいってないことに気づくチャンスです。
そこから方向修正して、前向きな考えと幸せな生活を手に入れてください。
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