みんながおいしいと食べているものなのに、自分はおいしく感じず食べることができない、なんてことはありませんか。
実は、人の食べ物の好みには、本能的なものと、日々アップデートされる脳の学習によるものがあります。
この記事では、
- 食べ物の好き嫌いがある理由
- 好き嫌いをなくすことができるか
について解説します。
目次
なぜ食べ物の好き嫌いができるのか
人が味を感じるとき、舌の「味蕾(みらい)」という部位で感知しています。
味覚には、
- 甘味
- 塩見
- 苦味
- 酸味
- 旨み
の種類があり、これらを味蕾の細胞が検出し、脳神経によって脳に伝えられます。
ちなみに、辛味はカプサイシンなどの刺激によって生じる感覚で、「痛覚」です。
臭いや歯ごたえ
人が味を感じるとき、味覚のほかにも嗅覚と歯ざわり関与しており、食べ物の好き嫌いを決める要因になります。
人間は、鼻腔の後方から入ってくる食べ物の匂いを感じることができ、これが人の味覚にとって重要な役割をはたしています。
そのため、鼻をつまんだり、風邪をひいて鼻が詰まると、食べ物の味がわからなくなるなるわけです。
また、歯ざわりの情報は脳に伝えられ、これも好き嫌いの判断基準になります。
好き嫌いの感覚を脳が処理する
人間の五感の好き嫌いを分けているのは、脳の「扁桃体」という部位です。
扁桃体は、その感覚を好きか嫌いの二者択一で判断します。
これは、味覚に限ったものではありません。
たとえば、多くの人は、きれいな花や良い香り、かわいい子猫、きれいな景色が好きで、心を動かされます。
一方で、騒音や異臭、イヤな肌触りなど、多くの人にとって不快な感覚もあるのです。
このような好き嫌いを脳の扁桃体が瞬時に判断するのです。
好き嫌いの条件付け
好き嫌いは、条件付けと呼ばれる脳の学習で強化されます。
パブロフの犬の話をご存知でしょうか。
ロシアの心理学者パブロフは、犬に餌を与える前にベルを鳴らすことを繰り返しました。
するとその犬は、ベルを鳴らしただけでもよだれを出すようになったという実験です。
これは、
ベルの音 = 餌をもらえる
という条件付けがされたことにより、身体的変化が生じたという結果です。
もともと好きでも嫌いでもなかったベルの音が、好きな音に変化したことになります。
人が、梅干しを見ただけで口の中に唾が溜まるのも、同じ条件反射です。
人の好き嫌いも思い込み
ある心理学実験によると、人の印象は初対面で90%が決定し、後からその印象を変えるのは非常に難しいという結果が出ています。
つまり、初対面でその人が嫌な印象だった場合、瞬間的に、「私はこの人が嫌い」とレッテルを貼り、その印象がずっとつづいてしまうわけです。
食べ物であっても、子供が初めて食べたピーマンが、苦いと感じた瞬間、
ピーマン = 苦いから食べられない
という記憶と感情が植えつけられると、「ピーマンは二度と食べたくない」と強く思い込みます。
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本能的な味覚の部分
人が本能的に持っている食べ物の好き嫌いの感覚もあります。
たとえば、
- 甘い味 = カロリー源となる炭水化物
- 塩辛い味 = ミネラル分
を示すので、小さい頃からこれらの味を好みます。
一方で、
苦味 = 毒
辛味 = 痛み
を示すため、これらの味を避けます。
子供の頃は特にこれらが顕著に見られます。
学びから好きになる
大人になるに従って、「これはおいしいものだ」「食べても大丈夫」と扁桃体が学習していきます。
食わず嫌いだった食べものが、ある時食べてみたらすごくおいしかったという話はよく聞きます。
このように、味覚の感覚も、扁桃体がいろいろなことを学びながら形成されていくのだといえます。
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他人の影響で好きになる
他人がおいしそうに食べたり飲んだりしているのを見て、だんだんと好きになっていくこともあります。
家族や友人が、激辛料理やビールなどをうまいと言いながら食べたり飲んだりしてるのを見て、自分も好きになるということがあります。
親の影響は大きく、両親が嫌いで決して食べないものは、子供も食べないものです。
ところが大人になって、友人などがおいしそうに食べているのを見て、初めて口にしたときに、こんなにおいしいものがあるのか、と気づくこともあります。
要するに、親が虫嫌いなら子供も虫が嫌いになり、親がにんじん嫌いなら子供もにんじんが嫌いになる可能性が高いということです。
まとめ
- 食べ物の好き嫌いには臭いや歯ごたえも関与する
- 好き嫌いの感覚を脳が処理する
- 好き嫌いは脳の学習
- 好き嫌いも思い込み
- 本能的な味覚の好き嫌いもある
- 他人の影響や学びから好きになることもある
参考図書
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